日産ディーゼル工業は金融支援を受けた際に発行した優先株の一部、247億4900万円分を買い取り消却すると発表した。業績回復により資金面の余力ができたことから、優先株数を減らし配当負担を減らす。
買い取るのは03年に発行した総額1060億円分の優先株のうち、みずほグローバル、りそな銀行、みずほアセット向けに発行した3749万8000株。1株660円(発行価額600円)で買い取る。8月2日に買い取り即日消却する予定。
同社は金融機関やグループの日産自動車から総額1060億円の債務株式化(優先株発行)による金融支援を受けた。国内排出ガス規制による需要増により業績が回復したことから、一種の借金である優先株の引き取りに資金を充てる。
ゴーン社長は終始にこやか、日産自動車の株主総会は、昨日(21日)穏やかに終了した。まあ、5期連続の増収増益だから当然か。厳しい質問はなく、注目が集まったのは、予想通り高額の役員報酬だった。
総会では、役員報酬総額を従来の20億円から26億円に引き上げる議案が承認された。ゴーン社長は推定10億円、日本人役員は推定2億円程度になる。
株主にはゴーン社長応援団が多い。「ゴーンさんが高いのはいいけど、総額が多すぎる」と日本人役員に疑問を投げかける質問もあったほど。これに対し、ゴーン社長は、「経営チームに誇りを持っている。国籍は関係ない。他社と比べて多いかもしれないが、リスクも抱えている」と理解を求めた。
2億円が多いのか、妥当なのか。意見が分かれるところだろうが、「もはや日産は完全に“外資”なんです。トヨタや松下と混同しちゃいけない」と言うのは、神戸大学大学院経営学研究科の長田貴仁助教授。
「日本企業では役員がクビになることはないが、日産は役員にも成果主義を求める。クビになるリスクがあるのでグローバル水準から見ればそんなに高くない」
そう考えると、ルノーCEOとしてフランス滞在が増えるゴーン氏に代わって日産を引っ張らなければならない志賀俊之COO(最高執行責任者)は、報酬は多いが責任重大だ。
「この5年間、日産は右肩上がりでしたが、実は今年が最も厳しい。増収増益とはいえ、05年3月期決算は営業利益率が10%を維持したものの前期比マイナスとなりました。また、鉄鋼など原料価格が高騰し、素材メーカーは強気です。系列を切ったツケが今年は業績に 表面化してきそうだからです」(業界関係者)
今年度からの新中期経営計画「日産バリューアップ」の陰に隠れてしまったが、ゴーン社長のコミットメント「日産180」で最後に残された世界販売100万台増の期限も今年9月末にやってくる。「達成できるか微妙」(前出の業界関係者)との見方も依然根強い。
高給取りの日産経営陣だが、業績次第ではバッサリやられる!? |